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ライフスタイルブランドUNBUNDLEが生まれるまで。【後編】

2022.02.25

私たちプラスディーは「デザインの領土を開拓する」をパーパスに掲げ、その実例のひとつともなるライフスタイルブランド、「UNBUNDLE(アンバンドル)」を立ち上げました。
それと同時に、第一弾商品となる、史上初のノンアルコールボトリングシャンディ ガフ「Alternative Shandy Gaff(オルタナティブ シャンディ ガフ)」を発売しました。
前編では、発起人である山木の思想やブランドの生い立ちを紐解いていきました。
後編では、山木をビジネス面で支えた鍛冶村を招き、はじめての自社プロダクトづくりの苦悩や葛藤、ブランド創設のプロセスを綴ります。

――初めてのプロダクト生産。自社で商品企画から販売、運用を一貫して行う理由を教えてください。

山木:小売ビジネスに対する知見をより深めていくことができ、クライアントワークの際にもご提案やご助言できる幅や説得力が確実に変わると考えたからです。

鍛冶村:よりクライアントの成長に貢献できるということですよね。生み出された活動や製品を軸に、組織の強みを表現することで、コーポレートブランディングにつなげていくこともできると考えています。それによって新しい顧客を獲得することにも寄与したいです。

――普段の業務、クライアントワークとの違いはなんですか?

山木:コンシューマーや世の中に対して私たち自身が直接、価値観の提供を行う点です。
新しい生活様式を基に成熟していく社会に対して、デザインの領土を開拓していくことを目的としたとき、UNBUNDLEのすべきことは「モノを売って利益を得ること」ではなく、「思想を広め共感を得ること」になります。

鍛冶村:UNBUNDLEはPtoC(Person to Consumer)モデルを意識しています。DtoCの先にあるモデル、いわゆるマーケットの分析から入るのではなく、影響力から入り、コミュニティと一緒に対話しながらモノをつくっていきます。ここでいうPersonはプラスディーになります。購買を促進させる広告を押し出すのではなく、あくまで個人(プラスディー)が「好きだからやっている」あるいは「使命を感じている」活動であり、それに共感する方が支援するという流れです。

鍛冶村:僕らはもともと制作会社としてお客様の依頼を受け、できるだけ良い方向に導き120点のものをつくるのが大切なんです。お客様が、0→1を生み出した後に、1→10にする行為の中に僕たちが入ります。だからお客様のビジネスを理解し、その中でどんなことに悩むのかを知っておく必要があるんです。自社でUNBUNDLEの運営を行うことで、その部分を特に良く分かるようになるのではと考えています。クライアントワークとして事業の一部に携わるだけではなく、自社の事業として事業全体のプロセスを知ることができるからです。
そういう意味で、この取り組みが成功しようが失敗しようが、会社の資産として大事なことだと考えています。UNBUNDLEはUNBUNDLEで閉じてしまうのではなく、この成功体験失敗体験を世の中へストーリーとして発信していくことがUNBUNDLEの思想を広げる近道だと考えています。また、組織の中でUNBUNDLEは人々の暮らしをデザインすることに対しての新しい感覚感性を取り入れていく窓口であることが重要だと思います。

――代表から叱責を受けたとの噂も。

山木:そう、怒られたんですよね。めちゃくちゃ。結局資金はいくら必要か、時期はいつになるのか、曖昧だったんですよ。

鍛冶村:通常だとサービスを作るときに、様々な分析や事業の戦略もフレームワークをベースに切っていくんですけど、今回のサービス設計や事業設計って、結構実験的だったんですよね。

山木:それで以前の職場で事業立ち上げを何度も経験されている鍛冶村さんに壁打ちさせてもらって。コストやスケジュールなど、事業計画をしっかりと引き直し、代表の許可を得て進めて行きました。そもそもはじめに市場調査をしたり、そろばんを弾いていたら飲料に手出さないですよね。だから逆にそれも面白かったんじゃないのかなと思います。

山木:ちょっとキテレツですもんね。他の制作会社でも、いきなり瓶の炭酸飲料つくるところはないんじゃないかな。熱量を持っていれば発想を具現化できる事例が実際にある。こういうことをやらせてもらえる社風なんだというのが伝わるとうれしいです。

鍛冶村:ただ今後も変わっていく可能性・必要性はあるので、こだわりはするけどこれが絶対だと決め付けないっていうのが大事だと思っています。そこはマーケットとも対応しながら進めていきたいです。

――二人の中で衝突した部分はありましたか

鍛冶村:ビジネスとしてどういう着地にするかを決めておかないと、全員が全く違う方向を向いて走り出してしまう。ゴールは何本売れてどういう状態になることを目指すのかを設定すること。定量的な状態と定性的な状態をどう捉えるのかというのは、全員が同じ目線でゴールを見ないと、それこそ、やりたいことをそれぞれやってしまい、成り立たなくなるのではないか、という話をしました。
一方で、UNBUNDLEの名前が出る前に、そもそもビジョン・ミッション・パーパスの改定をしたときに、これ自体がパーパス「デザインの領土を開拓する」の体現でないといけないということは代表の白井さんや山木さんと話していて。であれば、その中でUNBUNDLE、Alternative Shandy Gaffというのは何のデザインの問い直しをしてるのか? という話を煮詰めました。

山木:UNBUNDLE Alternative Shandy Gaffは、「オルタナティブ・アルコール」という社会に対する一つの問いを広げるためにアプローチしていく取り組みです。冒頭に「ソバーキュリアス」について説明しました。「飲める人」が「あえて飲まない」ということもありますが、「元々飲めない人」も飲み会で恐縮する必要はないんですよね。
アルコールやカフェインを取り入れない人がいることはAlready Normal(すでに当たり前)です。アルコールを通したコミュニケーションの問い直し。つまりコミュニケーションデザインだと考えています。

鍛冶村:卸先のホテルや取引先にAlternative Shandy Gaffを持って行くという行為のみでいうと、toB向けだけれども、お客様に初めましての挨拶とともにお渡しして、「これは何?」と聞かれたとき「プロダクト作ってまして」と伝え、「へー面白いことやってるな」と思っていただくことが大切で、継続的に行っていくことによって、プラスディーってチャレンジしている会社だと印象付けることがパーパスの体現になる。「なんだか色々頑張って開拓しようとしている会社だ」と知ってもらうことで、じゃあ自分たちもプラスディーに頼んだら言ったように仕事頑張ってくれるんだろうとか、そう言うスタンスや価値観で自社のプロダクトも見てくれるんだよねっていうことがすごい大事。
UNBUNDLEで大切な一つがパーパスの体現をする。それがお客様への価値なので。お客様が感じる価値をどういう形で意味づけしていくのか。

――「UNBUNDLE」の今後の展望を教えてください。

鍛冶村:UNBUNDLEがどのように生まれ、広まるのか、そのプロセス全体をオープンにし、ファンになってもらうことが重要だと考えているのでオープンネスを心がけて進んでいきたいです。
また、「UNBUNDLEってなんですか?」と聞かれたとき、「パーパスの体現です」とか、「ビジョンを指し示したものです」というものでありたいです。どんな時でも。ただ物をつくってるっていうふうになるのであれば、違うなと。それに、今の山木さんの苦悩がパーパスそのものだよねと言われるのが本質だと思います。

山木:プラスディーはこれまでWebやアプリなどオンライン施策を得意としてきました。デザインエージェンシーとして一段上の存在になるためには、オフライン施策の知見も広げる必要があると考えています。これについてはプラスディーが開拓していくデザインの領土のうちの「暮らし」の部分に大きく関係しています。
当初予定から変化したことや今後変化することは多々あると思います。ただ、UNBUNDLEがプラスディーというデザインエージェンシーが展開するライフスタイルブランドだというところはこれからも変わらないです。また、モノを媒介として人との新しい関係を見いだして、コトとかイミのデザインをするっていうところも変わらないです。
今後もUNBUNDLEのコンセプト『Already Normal』に沿ってさまざまな提案と価値創出を続けていきます。

写真:西田優太

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