インタビュー

クリエイティブで地方にコミットするプラスディー日南支社。

2021.9.3

# 地方創生# 宮崎県# 日南市

2021.9.3

私たちプラスディーは宮崎県日南市の飫肥(おび)地区に支社を持つ。築100年以上の古民家を改装したサテライトオフィスで2017年7月に開設したものだ。東京と宮崎、物理的な距離はあるが、東京と同様にクライアントワークからインハウス業務まで幅広く手がけており、距離を感じさせない働きぶりをみせる日南社員。この基盤を固めるまでの苦労やそれぞれの想いを、日南支社の創設当初から昨年まで支社長を務めた小松と、初期メンバーのデザイナー海老原、エンジニア木原、小坂に語ってもらった。

地方の仕事に責任を持ち、確実にコミットする

地方創生という言葉が多くなり出してきた2016年、プラスディーでも地方自治体系や観光メディアからの仕事が増えはじめた。特に映像制作の引き合いは急増。この機に、Webや動画制作のリソースを活かし、本格的に地方創生に対応する部署を創設することになった。
ただ、小松は東京にいながら地方の仕事を行うことへ、大きな矛盾を感じたという。

「地方の仕事をしていると、どこかでコミットしきれていないと感じることがあったんです。実際に、撮影現場で地元の方から『そんな表層的なものばっかり撮ってもしょうがない』と言われることもありました。自分が東京出身だったら彼らの気持ちが分からなかったかも知れませんが、僕も地方出身なので共感しちゃったんです。普段は東京で都会の生活を謳歌して、仕事のときだけ地方に行って、終わったらパッと帰るなんて、絶対認めないよなって。地方から金をとるためにやっていると思われるんだろうなと」

地方での仕事に携わる中で、地方創生という言葉を軽々しく使うことに対して違和感を持ちはじめた小松は、地方の現状を理解せずにこの事業を続けられないと考えた。地方に支社をつくり、地域に根を下ろすことで、地方の方々と近い感覚を持ちたい。そして、地方の課題を解決したいと考え、支社設立のエリア選定をはじめた。

なぜ“宮崎県日南市”なのか

「縁あって日南に支社を出すことになりました」

そう話す小松になぜ”日南”を選んだのか聞いてみた。

2015〜2016年度の初頭、日本で地方創生で有名な場所が三都市あった。北海道の夕張市、徳島県の神山町、そして宮崎県の日南市。市長やNPOがIT誘致などの施策に取り組み、地方創生を推進していた。地方で新しいことをするには、強いリーダーがいることが絶対条件。支社を設立するなら、市長の名前が全国的に知られている、この三都市のうちのどこかにしようと、代表の白井と話し合った。
それぞれの都市についてリサーチしたところ、当時の日南市長と白井が同級生だったり、日南市には小松の地元と同じく城下町があったりと、さまざまな共通点が見つかった。不思議な縁を感じ日南市にコンタクトを取ったところ、市長との直接会談がすぐに実現、支社設立が決まった。

「僕は福島県出身です。東日本大震災の時、僕は東京に住んでいましたが、地元が困っているときに誰が何をしてくれたかはよく覚えていて。手を差し伸べてくれる方は大勢いましたが、それ以上に無関心な人が多かった。助けてくださいと言うだけでは人は動いてくれなくて、地方が必要だと思われなきゃいけないと思い知ったんです。そんなときに、昔から縁があったプラスディーが地方への進出を考えていると聞いて、そのタイミングで入社しました。そんな経緯もあったので、支社設立にあたっては、地方を強く、かっこよくすることに貢献できる存在になりたいと考えました(小松)」

小松は自治体が抱える課題は大きく3つにわけられると話す。
1.雇用がなく若者が街を出て行ってしまうこと。2.空き家が増え、街が消滅すること。3.地元特産の後継者が出ず地元文化が消滅すること。日南進出前のプラスディーは、2つ目の空き家問題をクリアするためのサイトをつくったり、3つ目の特産品をアピールする映像をつくったりと、一部分だけの関わりに留まっていた。3つの課題すべての解決に挑戦したいという想いから、地元での採用活動を行い、空き家バンクで探した古民家をオフィスにリノベーションした。場所は企業誘致が進んでいた漁港街の油津商店街ではなく、山の麓でやや不便な飫肥地区。飫肥地区は、歴史的な価値の高い街並みが残る地域で、このエリアを活性化することで地元文化の保護にもつながると考えたからだ。

創設当初から現在まで苦楽を共にした日南社員

小松の熱い想いとともに地方進出を決めたプラスディー。実際に日南支社で働いており、設立当初から小松を見てきた社員はどのような心境だったのか。

「油津商店街には人が集まっているが、そことは違う場所で自分たちはやっていくぞ。そのために頑張らないとなという気持ちでいました(小坂/エンジニア)」

「前職でまちづくり関係の仕事をしていて、行政との関わり方も直接見てきていたので、プラスディーが地方に対して本気でコミットするという気持ちが伝わってきました。私はITで地方創生するという日南支社創設時のプラスディーの方針に共感してジョインしました。そのため、小松さんの地方に対する想いはとても頼もしく感じていました」(木原/エンジニア)」

「前職では、宮崎の食の魅力を発信するクリエイティブプロジェクトに関わり、商品のデザインから販売・運用までを担当していました。
すでに形ができていたところに加わった前職とは違い、プラスディーでは仲間といっしょに支社をゼロベースから形にする体験ができました。そのときの仲間達が今も残って一緒にやっているのは結構すごいことだと思うんです。
(海老原/デザイナー)」

創設までの道のりを発信し、同じ想いを持つ街の助けとなりたい

日南で働く3人に地方で働くことについてどう考えているのか聞いてみたところ、「好きな仕事を好きな場所ですれば良い」と満場一致の回答だった。

ただこれは全ての街で叶うわけではなく、日南だからこそそれができているという側面も大きい。地方創生に本気で取り組んでいる自治体は、2021年になった現在でもまだまだ一握りだ。小松は、「(日南市が)自分の地元だったらいいなとよく思う」と話す。

一企業の力だけで地方の課題を解決することは不可能に近い。自治体が自ら危機感を持ち、お金と時間と労力をかけ、課題と向き合うことにコミットしていることは、地方創生成功の最低条件だ。
それを満たす街とでなければ、プラスディーも支社立ち上げには踏み切れなかった。日南支社は現在、人員が安定し、地元のプロジェクトはもちろん、他の地方や東京のプロジェクトまで幅広い仕事を任せられるまでに成長。成功と言っていい事例に成長しつつある今、ここまでの経緯を他の自治体にも知ってもらい、企業誘致と地方創生の役に立ててもらいたいという想いから、この記事を書いた。地方を盛り上げていくためには、課題を探し、解決に必要なリソースを投入していく必要がある。新たな挑戦のため、働く空間や働き方をつくっていく。これはデザイン思考的プロセスであり、デザインエージェンシーとして、先進自治体・日南でのノウハウを持つ企業として、各地の地方創生により一層貢献していきたい。

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