デザイン会社の自社事業。クライアントへ共感し並走するために
「UNBUNDLE」は、ひとつの価値観に束ねられない多様性を持ち、新しい生活様式をデザインするブランドとして2021年6月に立ち上げました。ブランドの生い立ちについてはこちらの記事でご覧いただけます。
今回は第二弾のプロジェクトとして、革新的なノンアルコールカクテル「AFTER HOURS(アフターアワーズ)」と、その香りと味をより楽しむためのグラス「U GLASS」を制作しました。
こちらのブランドサイトよりご購入いただけます。
プレスリリースはこちらをご覧ください。
第二弾の商品が作られた背景
昨年6月、ブランド立ち上げと同時に販売したのはノンアルコールのシャンディガフでした。
企画が立ち上がった2020年は既にコロナ禍で、蔓延防止措置や緊急事態宣言により街から人が消えたのは記憶に新しいところです。
そして、酒類提供禁止から路上飲みなどの社会現象があり、私たちはアルコールとの向き合い方を考えることが多くありました。
ひとときの多幸感や憂さを忘れるために、およそ9000年前から人々を魅了してきたアルコールです。突然突き付けられた現代の禁酒法に肩を落とす人も多かったと思います。
しかし一方で「飲めない人」にとってはポジティブに捉えられるという話もよく耳にしました。
リモート飲みになることで、お酒を飲んでいないことに気を使われなかったり、そもそも飲みの席が苦手だったり。
そんな状況下で私たちは欧米を中心に始まった「ソバーキュリアス」という脱アルコールのトレンドの存在を知りました。
「あえて飲まない」という選択肢です。「シラフでいることはクールである」という風潮を生み出したのは、アルコール依存から抜け出すという文脈があったと思います。
しかしこのトレンドはコロナ禍で顕在化した下戸の味方でもありました。私たちはソバーキュリアスを広めることを決めました。
画して私たちは、多様性という旗のもとにノンアルコールドリンクの販売をスタートし、2022年の2月を持って、賞味期限と同時に販売を終了しました。
目的を達成するために、最適なパートナーと一緒に実行する
私たちは飲料のプロではないので、デザインエージェンシーとしてもう少し俯瞰して「体験を届ける」ことを考えました。バーに通ってみて感じたのは、グラスの重要性や氷の違いが体験の要素として大きいということ。
そうして、ガラスメーカーの「Sghr スガハラ」にご協力いただいてオリジナルのものを作ろうという話になりました。
このオリジナルテイストのドリンクに合うグラスを作ってトータルで体験をお届けしたいと考えたのです。
自分で事業を回し、はじめて知れる“重み”
では、この自社事業はプラスディーにどのような意味をもたらすのでしょうか。
UNBUNDLE責任者の山木に話を聞きました。
「自分たちの資金で、企画からクラウドファンディング、ブランドサイトの立ち上げ、販売まで、コンシューマーへ価値を提供し、対価をいただく。それらの商流を一通り経験したからこそ、見えてくる領域があると思っています。言葉に重みがあるのももちろんですが、事業を見る解像度が違う。そこに行けて、はじめて提供できる価値があると感じるようになりました」
ブランディングとは思いをカタチにしていくことと、それによってステークホルダーが抱く期待。ひとことで言うと双方を結ぶ「約束」という概念である。そう考える山木は、「ブランドは一朝一夕ではできません。 中長期的な計画の下、戦略的に行わなければならない経営課題です」と話します。
続けて、コスト意識についても、
「たった数円でも、そろばんをはじく人にとっては重い数字なんです。
クライアントワークの際にも、お客さんのビジネスにどんなコストやリスクがあるかを都度勉強していましたし、その重みについても理解しているつもりでした。ただ、自分で事業をつくってみてはじめて気付くこともやっぱりあります。逆にいうと、その肌感があれば見える世界は別物になると感じています」
自社ブランドとして目指すべきゴール
製造(開発)と販売の事業を手がけるクライアントには、同じ領域で経験がある方が提供できる価値は間違いなく大きくなるはずです。その点、「自社ブランドを立ち上げる」経験は、多様な領域を知れるという意味で、クライアントワークの厚みにも直結します。
商品企画・ストーリー作成・ビジュアルプロデュース(スチール、ムービー)・EC 制作(Shopify )・SNS 広告運用など。
特にコンセプト設計(ナラティブなアプローチ)とビジュアルプロデュースの部分で大きくサポートできます。
例えば飲料メーカーのお客様から、「グラスもつくりたい」という依頼があれば、UNBUNDLEの知見を生かしてガラスメーカーの「Sghr スガハラ」とコラボして制作するお手伝いができます。
「ノベルティーをTシャツなどのありがちなものではなく、こだわったものを作りたい」という依頼にも、その意味を一緒に考えるところから共感し並走することができます。
最後に、私たちは飲料ブランドではありません。
自社ブランドで目指しているのは、大袈裟に言えば社会的な心身の安寧です。
デザインエージェンシーとして、デザインが役立ったという既成事実を積み重ねていけたらと思います。
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