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Project

次世代の主食をブランディング。フジッコ「Beanus」プロジェクト。

2022.02.15

日本の食卓に長く愛されてきた「おまめさん」で知られる食品メーカー、フジッコ。そんなフジッコから全く新しいブランドが誕生しました。
その名も、「Beanus(ビーナス)」。ブランド第一弾商品として、まるでお米のように食べられる大豆・ダイズライスを発売するにあたり、プラスディーではビジュアル、ECサイト、レシピコンテンツ、それぞれの企画および制作を行いました。

今回は、制作プロデューサーの粂、フロントエンドエンジニアの小坂、ディレクターの奥村に、ここまでの道のりと今回のねらい、そして今後の展望を聞きました。

従来のフジッコのイメージと異なるビジュアル

Beanus(ビーナス)」の第一弾商品である「ダイズライス」は、まるでお米のように食べられる新感覚の大豆食品です。
低糖質で高タンパク、毎日続けられる美味しさだから、健康志向な方にとって「ダイズライス」は、お米という主食に変わるうれしい商品です。

先進的なこの食品を世に広げていくため、コアターゲットとして設定されたのは、30代から40代の、健康意識が高くトレンドに敏感な女性。プラスディーでは「糖質に気を使っていたり、ジムに通っているような、健康意識の高い層の女性に向けて、ロゴのトーンを起点にした洗練されたビジュアル表現で訴求することが最適だ」という仮説を立てました。

一方で、これまでのフジッコ様(以下敬称略)の各商品ブランディングは、表現として親しみやすさをメインに感じられるものが多い状況でした。
「Beanus」の商品特性やターゲットに即したブランディングにおいては、コンセプトに基づいて、特にビジュアル表現を既存商品とは異なる方針で進める必要がありました。テーブルコーディネートやフォトディレクションといったアートディレクションを行うとともに、ユーザーにとって商品価値が伝わりやすいUI/UXを追求しました。

サイトの構成要素と表現方法は、発売当初の理解促進フェーズと、ある程度商品の認知が拡大されたフェーズでは、優先順位が異なります。例えば、ファーストビューは複数の画像をスライド表示させるUIですが、フェーズによって表示順を変えました。発売当初は商品の世界観を認知させるビジュアルを優先させ、認知拡大後はより機能や新商品を訴求するビジュアルを優先して表示しています。他にも、商品をとりまく状況やフェーズに応じて各要素・表現を最適化する提案を行い、細かな調整を重ねています。

複雑な条件下でもベストを尽くす

ECシステム構築面でも工夫がありました。クライアントが指定したECプラットフォームは、「メルカート」。今回はメルカートならではの仕様も意識した上で、デザイン及びアニメーションのベストを目指しました。エンジニアの小坂は実装可能性を担保するため、粂と密に連携しました。
「まずテストモックを実装し、メルカートでの実装可否の確認を先に済ませてからデザインに移る流れで進めました。比較的仕様制限のあるシステムでは、デザインが一度決定したもののコーディングが不可能で手戻りしてしまうこともあるのですが、そうしたトラブルなくスムーズに進行できました(小坂)」

さらに、このプロジェクトは自分の中でも特に勉強になったと続けます。
「プロジェクトの始動時から参加し、企画・アートディレクションの段階から立ち合いながらWebに携われたことがよかったです。クライアントとの企画MTGにも参加し積極的に会話させていただきました(小坂)」

新商品発売に伴うUI/UXの最適化を行ったディレクターの奥村は、ユーザーの商品理解と購入に最適な構成・表現の条件を目指し、提案を繰り返したと言います。
これまでは「レンジで温めて食べる(冷凍タイプ)」の商品のみでしたが、「おうちで炊いて食べる(乾燥タイプ)」が新たにラインナップされました。

「今までに販売していない種類である、“大豆を炊く”という概念が一般的ではない、商品同士の特性の違いがユーザーにわかりにくいという課題がありました。もともとのキャプションは乾燥タイプ、冷凍タイプだけで分かりにくかったので、直観的に伝わるよう、カテゴリ名に具体的な調理方法を入れる提案を行いました。フジッコ様との擦り合わせの結果「おうちで炊いて食べる(乾燥タイプ)」「レンジで温めて食べる(冷凍タイプ)」となり、わかりづらさを軽減しました(奥村)」

ECサイトの制作はあくまでひとつの手段

「当たり前ですが、依頼されるままにサイトを制作するのではなく、クライアントやパートナーと伴走し、まずは共感、そして戦略・アイデア策定・実制作、また効果検証まで全方位的に携わっていくことがプラスディーの在るべき姿だと考えています。今回も、ECサイトをただ作るのではなく、「なぜ作る必要があるのか」から考え、その目的をデジタルでどう達成していくかを思考し続けました(粂)」

結果、新たなターゲットに沿ったアートディレクション、UI/UXで“これまでのフジッコ”とはまた違った雰囲気をお見せすることを狙いました。
ECサイトでは、ユーザーが相当の興味やメリットを感じないと商品購入されないため、ターゲットユーザーに寄り添わずに作っても張りぼてになってしまいます。仮説なくリリースしてしまっては、なぜその結果が出たのかがわかりませんし、変更する方針も立てられません。

「商品をとりまく状況に合わせて、日々アップデートを行う前提で、今考えうるベストを仮説立てて提案する。それがECサイトを作るうえでのポリシーだった」と粂は話します。

商品の魅力を最大化するコンテンツ作りで、ブランドイメージを明確に

本プロジェクトは、ブランドビジュアル策定やECサイトのデザイン、システム開発の他、ブランドアセットとなるコンテンツ制作にも取り組みました。フジッコの「飽きずに楽しく健やかな食生活を」という思いを元に、ビジュアルにも気を使ったレシピをオリジナルで開発しました。その後、調理、ビジュアル撮影、カトラリーなどの選定も含めてコンセプトやターゲットに即したディレクションを行い、ECサイト内でアレンジレシピというコンテンツをつくりました。

ここでは「みんなのレシピ」として、ユーザーが自分なりにアレンジしたレシピも取り上げていきます。そのため、核となるコンテンツ内容を確立することが重要でした。レシピのトーンやスタイルも形作られると一貫性が出て、ターゲットへの訴求が更に明確になります。

最後に今後の展望について、粂はこう話しました。

「新しいブランドの始まりから携わることは非常に貴重な経験です。次々と各施策を進めると同時にブランドの成長度を確認できます。これからもベストな提案を進め、より面白い取り組みをご一緒していきたいと思っています(粂)」

写真:西田優太

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