PLUS-D

Project

集客からサイト改善まで。インハウスチームだからこそできるデジタルマーケティング施策

2023.09.22

プラスディーではオープンハウスグループのインハウスチームとしてアカウントリレーション局(以下AR局)が認知/集客からサイト改善による獲得まで一連の業務を担っている。
AR局の局長である小松(写真中央)、広告配信を担うアドプランニンググループの福島(写真右/下)、ABテストやUI改善を行うウェブクリエイティブグループの白河(写真左/上)に、広告配信からサイト改善に至るまでのデジタルマーケティング施策における取り組みを聞いた。

集客から獲得までを一貫して担うインハウスチーム

――それぞれが担当する業務内容を教えてください。

小松:AR局の局長として、『オープンハウスグループ(以下OHG)のマーケティングのインハウス化』を進めています。AR局は今回お話しするデジタルマーケティングの領域以外にも、広報宣伝や物件広告業務など多岐にわたるOHGの業務を担当しています。
特に戸建の領域では、Web上にいる見込み顧客をサイトに呼び込み、その後、サイト内で顧客の購入動機を高め会員登録や物件の問い合わせを増やしていく過程の一連の内容を、プラスディーのインハウスチームがOHGのマーケティングチームの方々と共に担っています。

他にも、エンジニアチームによるサイト構造や表示速度といったSEOに関わる部分の改修を日々進めています。テクニカル方面の改善をすることでサイトのパフォーマンスを上げ、全体の数値向上を目指すなど様々な方面から効果改善を行っています。

福島:アドプランナーとして、ディスプレイ広告を活用し戸建の領域における顧客の会員登録を目指した広告配信の企画運用フェーズを担当しています。一番の目的は、会員登録の後にご成約をいただくことなので、ただ会員登録を促すのではなく、様々なターゲティングを駆使して購入を検討している人に訴求しその後の営業や契約に繋げやすいような広告運用を行ってます。予算規模だと全体で月2.5億程度で、そのうち5000万程度が自分の担当です。
ディスプレイ広告はターゲットと配信するクリエイティブのデザインが数字に大きく影響します。知見や今までのノウハウを生かし、新しいクリエイティブのデザイン開発や、今まで契約してきた人と近しい行動履歴がある人をリサーチするなど数字を軸にターゲティングを進めています。

白河:私の担当領域はオープンハウスの戸建サイトにおける運用改善です。広告等でサイトに流入してきた顧客に対し、購入したいと思ってもらえるサイトに設計するため、ABテストの実施やサイトの改善を行っています。会員登録をいただいた後、物件の資料請求、見学予約、来店仮予約など、お客様の次の行動につながるための施策の立案と実施、そして分析をした上での改善を一貫して行っています。

――担当する業務領域の中でご自身が特に意識していることはありますか?

福島:数字を基に、本質を見極めることを意識しています。例えば、現場からこんな施策を打ちたいと提案が来たときに、すぐに鵜呑みにするのではなく、その施策が本当に数字に結びつくのか?という裏付けや根拠をもったうえで実施の判断をするようにしています。自分たちがいつも見ている数字を武器として扱えるよう重要視して広告運用を行っています。

白河:一番に意識しているのは常にお客様の視点に立つことです。毎日戸建サイトを見ていると、制作サイドに寄った考えに良くも悪くもなってしまいます。ABテストの施策立案をする場合も、企業側からのメッセージを伝えるだけではなく、お客様にとって使いやすいサイトになるのか、メリットになるのかなどを考え、毎日初めて見るような気持ちでサイトを1から使うよう心がけることで、改善や改修に役立てています。

――お二人が行っている効果改善の提案の中で、成功例や改善例を教えてください。

白河:戸建サイトのハンバーガーメニュー内のUIを改修したことで、ユーザビリティが向上しCVRが改善しました。ハンバーガーメニューのクリック率が高いことに注目し、会員登録前のお客様と会員登録後のお客様ではそれぞれ必要としている情報が違うのではないかと仮説を立て、会員登録後のお客様のメニューの内容を変更しました。クリックから見る傾向を土台にして事実と根拠を持ち合わせて提案できたことが良かった点だと感じています。数値の分析をしたうえで、会員登録後でどのCVをした人が一番契約率が高いのか?を洗い出し、一番契約率が高いコンテンツを根拠として立案したこともありました。

最近の改善例としては、「OHGで家を購入するお客様のうち2人に1人がこういった傾向にある」という数値上の情報を踏まえ、どこに家を買うか迷っている人たちに向けてサイトのTOPでその情報を訴求したらどうか?と仮説を立てABテストを行ったのですがうまくいきませんでした。
失敗した理由を考察したのですが、お客様からするとこういった傾向なのでここで家を買いましょう!と決めつけられても購入したくはなりませんよね。言いたいことを言うだけではいけないと改めて感じました具体例になります。

――施策の提案頻度はどの程度でしょうか?

白河:毎月1回、ミーティングをしてチーム全体で20案ほど提案をしています。毎週の定例の中での気づきも多くあるので、頻度は決まっていません。
常時8本程の施策を運用していますが、数字ではっきり成功と失敗がわかるため、改善案も出しやすい環境です。

福島:自分の成功例は、広告配信をする各エリアごとに現場の営業の方へのヒアリングをしたうえで効果的な広告配信を行えたことです。
どの広告で流入してきたお客さまだと契約に結びつきやすいのか?どのような方に来てほしいのかを営業の方にヒアリングし、クリエイティブを検討・作成しました。例えば、高級感が重要視されるエリアに対して、購入したときのイメージがしやすいよう訴求に合ったクリエイティブを用意しました。施策としても成功し、LINEforBusinessでも記事として取り上げたいただきました。県民性や訴求文言など自分たちがもっている知見をフルに生かして現場と連携が取れたからこそできた成功例です。
今後の方針は、当たりバナーのさらなる数値向上になります。月に300から400ほど作成している広告クリエイティブの中で顧客流入率が高いバナーは一握りしかありません。確率をあげ、より数値に寄与するクリエイティブを作ってもらうためにも推測や仮説立てをより進めていく必要性を感じています。

LINE株式会社の取材を受ける福島

集客と獲得をワンチームで行うからこそ生まれるスピード感

――集客と獲得を一つの会社でやっているメリットはどこにありますか?

小松:プラスディーチーム同士の連携に尽きます。例えば、クリエイティブの訴求内容を踏まえたうえで、流入してきた人にどんな着地ページを置けばいいのかを踏まえた一貫性のあるクリエイティブ制作を進めています。インハウスではない場合、別々の代理店に制作を依頼することになるので、ここまでの連携はとれないです。他のページで魅力的な情報や成功例があれば別のフェーズで生かすこともできますし、数字面でお互い知りたい情報を持ち合わせていること、意識的に情報の共有を行っている組織であることが、他の外部委託する代理店さんなどにはないメリットだと感じます。福島さんと白河さんは今のチームで業務がやりやすいと感じる部分はありますか?

福島:前職では代理店にいたのですが、スピード感がまったく異なりますね。数字向上の理由を直接聞ける環境があるので、何か改善したいことがあればすぐに動き出すことができます。一時期施策として、会員登録後のお客様に対して広告を当てる機会があったのですが、サイトにおける数値の情報を白河さんにいただいた上でクリエイティブ制作を行うことで好評をいただきました。情報共有がスムーズにできるため業務が進めやすいです。

白河:数字の連携部分のメリットは肌で感じます。以前、福島さんからCVRの高いページはどこか?という連絡をいただき、分析結果を共有したことがありました。すぐどのページが広告の着地先として良いのかを提案できましたし、先日も、戸建サイトでユーザーの興味を引く、ルーフバルコニーの写真を探す中で、広告クリエイティブの中でCTRがいいものを使いたいと考え福島さんに情報共有をいただくことがありました。

作っておわりではなく改善ができる環境に感じるやりがい

――デジタルマーケティングにおけるご自身の担当業務内でのやりがいは何ですか?

小松:個人と組織、どちらにも通じるのは結果が出たときです。一生芽が出ない畑を耕して面白い人はいないと思います。自分が前のめりに取り組んだことでいい結果が得られるなど、定量的な数字がわかりやすく出る環境にいるところがやりがいを感じる部分です。
会員登録後のフェーズを白河さんが担当していますが、資料請求数が依然と比べて倍以上増えている事実があります。これは明らかに、マーケットのトレンドや外部要因だけではないですよね。また、福島さんがいるアドプランニングチームがインハウス化を進めていることにより、代理店フィーの削減や知見の蓄積を進めることができています。
昔は個人の成果を喜んでいましたが、今はチームのみんなが頑張ったことでいい結果が出たということにやりがいを感じます。

福島:自分が描いている動線やデザイン、配信設計を、すぐ実行できる環境に大きなやりがいや魅力を感じます。前職では、決められたページ、クリエイティブしか使用できず、こちらくら遷移先の変更やクリエイティブ提案を行うことが困難であり、歯がゆく感じる部分がありました。今は、LPの制作段階から入らせてもらい集客したいターゲットや意図を聞くことで、どんな構成がよいのかを併せて提案もしています。こんな人を集客したい、だからこういうLPにしたいという部分まで考えられるのは、インハウスならではの取り組みなのではないでしょうか。
提案できる部分が増えたことで自分の仮説の答え合わせができますし、施策が失敗した場合も経験値として知見が増え、そして貯めていくことにより次に生かすことができます。

白河:ひとつめのやりがいは明確な目標を追えるということ。ABテストをルーティン業務だと捉えている人も多いですが、そんなことはありません。数字は毎日変わりますし、施策によって大幅に数値が改善することもあります。達成できる出来ないどちらにしても数字を追っている日々の業務が新鮮でとても面白いです。
ふたつめは、施策の立案から数字分析、実行まで一連の流れを1人で進められること。元々デザイナーでもあるのでデザインも自分でできますし、一連の流れを担い、効果分析をして、また新たな施策の立案ができるこの環境にやりがいを感じています。

培った知見を生かし新しい業務領域の拡大を目指す

――今後の業務領域の展望について教えてください。

福島:自分の領域では広告配信が最大の武器になります。今は、戸建をメインにしていますがゆくゆくは、OHG全域を担えるように業務領域を拡大していきたいです。
広告配信では、意図とするターゲティング、バナー内のテキスト内容と着地するLPの関連性、LP自体のパフォーマンス等、多岐にわたる要素が絡みあい低単価で質の良い配信がようやく完成します。インハウスチームとして獲得したノウハウをプラスディー内にも展開し業務に生かしていきたいです。

白河:今、福島さんが話したことと同じように私も今培っている知見をプラスディーの業務内で生かしていきたいと考えています。ご相談いただく機会も前より増えてきているので、もっと強い知見を貯めCC(クリエイティブコミュニケーション局の略。主にOHG以外の外部クライアントを担当する部署)の方々への共有及び、自身の案件で活用していきたいです。プラスディーとして業務領域を拡大できる部分はまだたくさんあると考えていますし、OHGの全ての領域に対して関わっていくチームでありたいです。

小松:AR局の組織目標は発足当時から変わっておらず、『オープンハウスグループのマーケティングのインハウス化』です。デジタルマーケティングの知見を生かしプラスディーがメインで担当している戸建の領域の他にも、マンション、アメリカ不動産、採用領域など、OHGの中でプラスディーが担える領域を今後拡大していくことが、組織目標達成のために必要なことだと考えます。
また、AR局内で貯めてきたデジタルマーケテイングでの知見をこれまで以上に生かし、AR局だけではなく会社全体のノウハウにしていくことも重要な目標です。先ほどお話しした通り、デザインエージェンシーと事業会社、両方の機能を持つプラスディーだからこそできる取り組みですし、そのために、プラスディーチーム同士の更なる連携、知見の獲得を進めていきたいです。

OHGは他の不動産会社と比べると、デジタルマーケティングの推進が進んでいます。会員登録後に物件の詳細が見られることで集客を促しており、デジタルマーケティングで集めた数値の情報をもっと営業に生かせるのではないかと個人的には考えています。
例えば、もう一歩踏み込んで、お客様からの反響が多い間取りをプロダクトに反映していき、商品軸でのマーケティングができれば、より有利に営業できるかもしれません。売れる間取り、値付けの方法などマーケの知見をつかって関われる業務領域はもっとあると思いますし、新たな領域への挑戦が、業務の幅を広げ成果に結びついていくと考えています。

OTHER FEATURE ARTICLES

Project ライフスタイルブランドUNBUNDLEが生まれるまで。【前編】 ライフスタイルブランドUNBUNDLEが生まれるまで。【前編】 Project 関わるステークホルダー全員が『total-win』の関係をつくるために。【地方創生編】 関わるステークホルダー全員が『total-win』の関係をつくるために。【地方創生編】 Project ライフスタイルブランドUNBUNDLEが生まれるまで。【後編】 ライフスタイルブランドUNBUNDLEが生まれるまで。【後編】 Project デザインエージェンシーと事業会社、二つの機能がもたらすインハウスの可能性。 デザインエージェンシーと事業会社、二つの機能がもたらすインハウスの可能性。

contact

ブランドデザイン、マーケティング/PR戦略設計、コンテンツ制作など、
デザインパートナーとして並走し課題に向き合います。
お仕事のご相談、ご質問など、お気軽にお問い合わせください。

GET IN TOUCH