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Career

プロジェクトの最善な解決方法を見つけるために人を巻き込み、繋げる起点となるデザイナーへ。

2022.02.04

プラスディーでは、“人や企業の営みのすべてが、デザインの対象であり得る”という考えから、2021年9月より、社員全員が「X Designer」として自身の肩書を定義した。対象には、ディレクターやエンジニアなどのクリエイティブ職はもちろん、広報や経理などのバックオフィス職も含まれる。全員がデザイナーを名乗ることで、社内外にどんな変化が生まれるのか当事者である社員へのインタビューから明らかにしていく。

今回インタビューするのは、デザイナーの伊藤健人。お客様と社内、どちらにとっても良き理解者となり、プロジェクトの最善な解決方法を見つけたいと話す彼に「Connect Designer」を名乗る理由を聞いた。

Profile
伊藤 健人:デザイナー「Connect Designer」

2015年新卒としてプラスディーに入社。クライアントワークのデザインを担当。その後、一度はテレビショッピング運営企業に転職するものの、デザイナーとしてのスキルを磨ける環境に身を置きたいとプラスディーに再入社。休日はラジオを聴きながら愛機のカメラを片手に街をぶらり。

自分の熱意が伝わったことで周りが動いてくれた経験

――自身を「Connect Designer」と定義するきっかけとなったプロジェクトは?

群馬県のみなかみ町で「産官学金連携まちづくり」が始動することを知らせる、PR / 記者発表に携わらせていただきました。この取り組みは、みなかみ町、群馬銀行、東京大学、オープンハウスの4者が、「みなかみ町の地域活性化に関する包括連携協定書」を取り交わし、以後、“魅力ある観光地づくり及び誘致に関すること”や、“サスティナブルな街づくりの推進に関すること”など、7つの観点で継続的に連携したまちづくりに取り組んでいくことが発表される会でした。

僕は今、オープンハウスのインハウス / マーケティングチームに携わっている立場から、オープンハウスグループとしてのブランディングや認知獲得に関わる仕事にも広く携わっています。このプロジェクトは前述の通り、立場や商習慣などが異なる方々を巻き込みながら進められているもので、その記者発表会ということもあり、開催に至るまでには様々な立場の方と連携し、進行していく必要がありました。僕がプロジェクトに参加した時点では20%ほどの進捗でしたが、出席者にはその会だけに集中してもらえるよう、必要な装飾など制作回りをいかに早く100%の状態に持っていくかを考えました。細かいことで言えば、記者発表に必須であるロゴ入りバックパネルや、手持ちのボードの手配など、裏方のお仕事も広く携わりました。ですが、一番重要なことは「産官学金連携まちづくり」という発想、目指すべき姿であることを、各担当者と同じ熱量で感じとり、そしてPR / 記者発表に至るまでに他者を巻き込みながら力強く進行していくことだと感じました。

立場の違う方々とのお仕事であっても、自分が熱量をしっかりと持ち、伝えることができたプロジェクト。当時は「他者を巻き込みたい」と思って行動したわけではありませんでしたが、結果的に巻き込むことができたのは、ロジックだけではなく自身が「成功させたい」と純粋に思い行動したが結果に繋がったのだと思います。振り返ってみると充実感や達成感もあり、この体験をきっかけに「成功させたい」という純粋な気持ちを持ち、多くの人たちを巻き込んで、仕事をしていきたいと思うようになりました。

その後も、小さなことではありますがオープンハウスのABテスト施策にて不具合が見つかった際に、原因の調査、対策を行えるよう、オープンハウスのエンジニアとABテスト担当者を繋げ、原因、対策方法を明確にしました。「問題の整理を即座に行い、然るべきチームを瞬間的に組成して、解決に導かせる」ということの重要性を前述のプロジェクトから学び、実施することができました。

4年ぶりの再入社。きっかけは上司からの電話だった

――一度別の会社に転職してから、プラスディーに再入社されています。戻ってくるまでの経緯を教えてください。

2015年に新卒で入社し、1年半ほど働いて一度退職しました。当時は運用のプロジェクトをメインに任せてもらっていて、自分のつくったデザインが数値として効果をあげられているのか、気になってきたタイミングでした。見た目だけではなく、「売り上げにどう繋がっているのか」「本当にお客様のためになっているのか」自分の目で直接確かめたい思いから、成果が数値として表れやすいEC業界に転職し、インハウスのデザイナーとして働きました。

転職先では、Webディレクターという役割がなかったため、仕事を依頼してくださっている部署の方とスケジュールを擦り合わせて進行し、構築についてもHTMLをメインとした簡易的なものは自分でやっていました。デザイナーは7人在籍しており、LPなどを制作していたのは自分含めて3人で、他の4人はバナーの制作や運用系の制作をしていました。そのため、ディレクションからエンジニアリングまで幅広い業務を任せてもらっていました。そんな自分たちを育てるため、マネジメントスキルが高い上司はいらっしゃったのですが、圧倒的なデザインスキルを持っている人がおらず、デザイナーとしてのスキルアップは難しいと感じていました。また、改善のための提案を行っても「本社のアメリカのOKがでないと…」という理由で提案が通らないことが何度もありました。
3年と半年働き、転職時に身につけたいと思っていた、数値を意識したデザインの作り方が学べたと思ったタイミングで、売上という数字が目に見える点にはやりがいを感じたのですが、スキルアップのために再度転職することを決めました。

――そこからなぜプラスディーへ再入社することになったのでしょう?

きっかけは、元上司からの電話でした。僕が辞めたあとも、「最近どう?」とたびたび連絡をくださっていて。ちょうど、転職活動をしていたタイミングでも連絡をもらいました。体調面の心配までしてくださり、自分のことを気にかけてくださっているのが伝わってきました。再入社を決める際の面談でも元上司の熱い気持ちを感じ、素直にうれしかったです。

それに、他社を見たからこそ、プラスティーはプロジェクトの上流から関わり、提案ができる環境だと改めて感じました。上流から関わることで、「つくったデザインをどう魅せるか」を考えることができ、デザイナーとしてのスキルアップにも繋がりました。

再入社してから参加した、雑誌のWebマガジンのコンペでは、クライアントに対するヒアリングから、課題の抽出、イメージのすり合わせ、クライアントや他社の雑誌を購入し、分析を行ったうえで、デザインコンセプトを設定し、提案しました。また、プレゼンではどのように話を組み立てれば聞きやすいかを考え、相手に共感してもらえるような一言から話し始めるように工夫しました。これはプレゼンに向かう途中、上司からアドバイスをいただいたもので、今までのプレゼンでは自分が伝えたいことを伝えるので精一杯でしたが、アドバイスを受け、実際にプレゼンの中に盛り込んだところ、相手の反応も良く、ひと盛り上がりした後、説明へとスムーズに移ることができました。

前職はインハウスデザイナーだったので、社内向けにデザインの提案は行っていましたが、対クライアントにコンペということは出来なかったこともあり、今回のような資料を作り込んでのデザイン作りや、プレゼンをする機会は非常に良い経験になりました。

人を巻き込み、繋げる起点になりたい

――自身を「Connect Designer」と定義した背景を教えてください。

一人でできないことも、人を繋ぐと課題解決できることがあるからです。
また、お客様の思いをデザインとして形に繋げることも心がけています。
自分が起点となり、プラスディーとクライアント、両社の良き理解者となり適切な意思疎通を図り、最適な人を巻き込み、繋げ、課題の解決ができるようになりたいです。
これは、上司の姿から影響を大きく受けました。その上司は良い意味で「人たらし」で、常駐先とは別の部署の人ともコミュニケーションを取り、あっという間に信頼を得て、プラスディーの関与する領土を広げている。常駐先のクライアントとプラスディーを繋げながらプロジェクトを進行している。そんな現場を間近で見て、その人を起点に仕事が繋がれていく流れが自分のやりたいイメージにとても近いと感じました。
上司を見ていて、プラスディーへ再入社を決めた当時は「デザイナーとしてスキルアップしたい」という気持ちが大きかったのですが、他のデザイナーを繋げ、よりよいアウトプットになるのであれば必ずしも自分がデザインをつくる必要はないと考えるようにもなりました。

――「Connect Designer」として意識していることは?

「物事の背景を必ず伝える」こと、「巻き込みたい相手についてよく理解する」こと、そして「自分の本気度を伝える」ことを意識しています。

人を巻き込むためには、その人を動かす理由が必要だと思っています。
これは何のために、誰のためにやるのか、会社のためにはどんな意味があるのか、社会に対してどんな価値を提供できるのか。まずは、プロジェクトの目的や目標を巻き込みたい相手に納得してもらえる言葉で伝えるようにしています。自分が話すときには背景を大切にしていますし、聞く側に回ったときもどういう背景があるのかは常に聞きたいと思っています。
特にデザイン制作には、AかBかの完全な正解はなく、あるのは人それぞれの仮説です。それに近づくためにも、どういう背景でどんな依頼がきているのかを聞くことは必要不可欠です。

さらに、巻き込みたい相手に具体的にどのような役割を期待しているか、どのようなメリットがあるかも伝えるように意識しています。
相手に腹落ちしてもらえるように伝えるには、日常のコミュニケーションや観察を通じて、その人について理解を深めていくことが重要だと思っています。例えば、どのような経験やスキルを持っているか、どのようなことが動機となるのか、今どのくらい仕事を抱えているのか、など。単にタスクを割り当てればよいというわけでなく、巻き込んだ相手が自ら進んで役割を担い、主体的に行動し、力を最大限発揮できる状態を目指しています。

最後に、自らの本気度を見せ続けること。
人を巻き込んでいくためには、自分自身が、言葉と態度でその仕事に対する強い思いを伝え続けることが大事だと思っています。その熱意により周囲の人も「気づいたら巻き込まれていた」ケースも少なくありません。実際に自分も上司からそうして巻き込まれています(笑)。
そのためには誰よりも情熱を持てるよう、プロジェクトに対して理解を深め、懸命に取り組む姿勢を見せ続ける。 こういった努力も、人の心を動かすために重要な要素の一つだと思います。

「アイツがいれば何とかなる」と思われる人に

――クライアントから言われた印象的な言葉は?

オープンハウスのデザインを統括している方や、所属しているグループの上長とコンバージョンや導線を含めた数値について話す際、「(専門用語や端折った会話でも)話が通じるね」と言っていただくことがあります。これは前職時代の経験が生きていると感じ、うれしく思っています。前職には、会社の公式LINEアカウントがあり友達も数十万人いたのですが、売り場として機能していない状況がありました。そこでLINEのユーザーだから見られるLPをつくろうと、SNS担当者を巻き込み、有志のメンバーを集めてプロジェクトを立ち上げました。実際に制作し、配信したLPのコンバージョンや、売り上げを追いかけ、メンバーと「どうすれば数字が良くなるのか」を考えながらPDCAを回していました。そのときに身に着けた知識や考え方があるから、専門的な会話にもついていけています。

先ほどのデザイン統括やグループの上長とは反対に、デザインや構築の知見がない人と話すときには、できるだけ専門用語は使わずに分かりやすい言葉で話すようにしています。また、「あれ」「これ」など曖昧な言葉をさけて同じ認識を持ってもらえるような説明を心がけるようにもしています。「伝わる」ための方法を色々考えることが好きで、失敗した後は脳内会議が開かれます。その結果を次の行動にどう生かすかをとにかく考えるので、次に生かすスピードが早く、そこは強みだと思っています。

――「Connect Designer」として、どんな働き方をしていきたいですか?

誰かが仕事に行き詰まったとき、「アイツがいれば人を巻き込んで何とかしてくれる」と思い浮かべてもらえるような人になりたいです。仕事の種類は問いません。
デザインとエンジニアリングの知見があるので、自身で手を動かすことができるし、誰かがつくったものに対してフィードバックもできます。それぞれにかかる工数も分かります。「Connect Designer」として人を巻き込んでいくうえで、作り手側の気持ちが分かることは大きな武器なので、今後ももっとレベルアップしていきたいですね。

写真:西田優太

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