
効率化がもたらす意味に気づいたからこそ、いつも新しいやり方を模索するエンジニアでありたい
プラスディーでは、“人や企業の営みのすべてが、デザインの対象であり得る”という考えから、2021年9月より、社員全員が「X Designer」として自身の肩書を定義した。対象には、ディレクターやエンジニアなどのクリエイティブ職はもちろん、広報や経理などのバックオフィス職も含まれる。全員がデザイナーを名乗ることで、社内外にどんな変化が生まれるのか当事者である社員へのインタビューから明らかにしていく。
今回インタビューするのは、2021年に入社し、オープンハウスグループのオフィスに常駐しながら業務に取り組んでいるエンジニアの呉夏瑛。プラスディーに入社してから業務の効率化がもたらすメリットに気づいたという呉に、「Clean Designer」を名乗る理由を聞いた。
- 呉 夏瑛:エンジニア「Clean Designer」
システム会社のweb事業部でWEBデザイナー兼webコーダーとしてキャリアをスタート。日々の業務と独学でwebサイトの制作をしながらフロントエンドの経験を積んでいくうちに、最先端を走るクリエイティブな案件に関わりたい、専門的な技術を向上させたいと思うようになり、プラスディーへ入社。
趣味は韓国アイドルのダンス動画鑑賞とロックバンドのライブに行くこと。真の猫派。
エンジニアリングの知識が可能にした業務改善
――担当した案件の中で印象的なものはありますか?
オープンハウスの戸建て仲介サイト内のコンテンツ更新フローのリデザインです。
このサイトには、売り上げを支える要の営業マンの写真とプロフィールが掲載されているページがあり、人の移動や入退職に合わせて所属情報を更新しています。現在800名以上掲載しておりますがその更新フローをリデザインしました。
――具体的に行ったことを教えてください。
まずは、更新依頼をいただく際の運用ルール、フォーマット、レギュレーションを統一し、営業部の方々へ周知を行いました。次に、バックオフィスの方々にもご協力いただき、組織データの連携を行いました。そういった先方側のご協力もあって、自動化を達成できました。
結果として、1週間程度かかっていた作業が、2〜3営業日で終わるようになりました。時間ができたことで、それまで見つけられなかった課題やほかの業務の効率化にも目を向けられるようになったことも大きな発見です。発展途上の部分もあるのですが、バックオフィス以外にも営業部の方々ともコミュニケーションをとることで信頼関係を構築できたことが、とても印象に残っています。

年齢や職種にかかわらず意見を出し合える環境が魅力
――エンジニアを志すきっかけになった出来事はありますか?
実は、もともと「エンジニアになろう!」と思ってなったわけではないんです(笑)。高校3年生の暮れ頃に進路について悩んでいたときに、エンジニアをしていた兄から、「就職悩んでるんだったら、プログラミングを趣味でもいいからやってみなよ」と言われたことがきっかけでした。
オンラインプログラミング学習サービスのProgateをつかって、独学で勉強をしていたのですが、凝り性な性格が合っていたのか、どんどんプログラミングにはまっていって。一度きりの新卒就職だと思い、エンジニアとして就職活動をしていたところ前職に内定をいただくことができて今に至ります。
――前職ではどんなことをしていましたか?
レジャー施設の基幹システムを自社開発している会社のWebを扱う部署で働いていました。まずはWebサイトのデザインについてゼロから学び、コーダー兼デザイナーという肩書でキャリアをスタートしました。ですが小さな部署だったのでディレクターさんもおらず、お客さんとの折衝も仕事の範囲でした。先方に伺ってプレゼンをしたり、資料を作ってサイト改善の提案をしたり、企画提案から見積作成などできることはなんでもやりました。
例えば、ゴルフ場の天気がすぐわかるようにサイトのわかりやすい場所に天気予報を掲載するとか。また、レジャー施設のスタッフさんが更新されるブログがあるんですが、業務柄パソコン操作が得意ではない人も多いんです。なるべくどなたでも簡単にサイトの更新業務ができるよう、CMS※を導入してページの更新や管理ができるようにしました。会社にお電話をいただいて、「呉さんのおかげで、助かりました」と直接言っていただけたのは今でも嬉しい思い出です。
エンジニアリングが人の役に立つと身をもって知ることができましたし、職種に縛られない働き方や考え方をするように心がけるようになったのはそれがきっかけかもしれません。
※Webサイトの記事や画像の登録・更新を、特別な知識がない人でも管理画面上から行えるようにするためのシステム
――転職しようと思った理由を教えてください。
レジャー施設の中で主にゴルフ場のサイトを担当していました。しかし似た系統のテンプレートの更新や同様の運用が続いていたこともあり、新しい技術や表現を試してみたいと思ったことが理由です。
すぐに転職を考えたわけではなく、まずはいろんなWebサイトを見て勉強することからはじめました。そのときに、プラスディーがつくった『ぶどうのたね』のサイトを偶然見かけて。キービジュアルの手書きのコピーの出方とか、アニメーションの動き方とか、どういう風に作っているんだろうととても興味が湧きました。
その後しばらくしてから転職活動をはじめたのですが、何気なく見たプラスディーのコーポレートサイトのWORKSページに『ぶどうのたね』が載っているのを見つけて「あのサイトをつくった会社だ!」と驚いたのを覚えています。
――プラスディーに入社して驚いたことはありますか?
前職では、役職や上下関係に対する考え方がプラスディーとは大きく違っていました。自分の意見があっても、表舞台で発言するのは上司という感覚がありました。
プラスディーに入社して、年齢や職域にかかわらず若手が率先して案件を進めていることに驚きました。やりたいことがあるときに遠慮せず意見できる雰囲気があると思いますし、自分の意見に対して忖度なくフィードバックをもらえる文化があることもとても魅力的だと感じます。

今だからこそ昔の自分に言ってあげたいことがたくさんある
――自身を「Clean Designer」と定義した理由を教えてください。
「Clean」という言葉には、エンジニアとして、コードをキレイな状態にすることや、体制や運用に関して不要なものや適していないものを整理するという意味を込めています。
前の質問ともリンクするのですが、プラスディーでは、エンジニアだけではなく社員全体に効率化の考えが当たり前に根付いています。前職だったら、非効率な作業があったとしても、「前からやっていた方法だからいまさら変えないほうがいい」という言葉や考えを真に受けていました。
いろいろな効率化の方法を知ったことで、もし今の自分が前職に戻ったとしたら、あそこを変えたいとか、あの業務はもっと効率化できるなってところがどんどん浮かんできて。当時は、改善できる方法があるかもしれないのに、それを探そうとしないでいたことに気づいたんです。これは私にとってすごく大きな発見だったので「Clean Designer」としました。
私がクリーニングをすることによって、より効果的な実装、スムーズな進行に繋げたいと考えています。
――今までの経験での反省を踏まえているということなんですね。
そうですね。最近は、依頼をいただくタイミングや作業入る前に、「本当にこの方法でいいのか?」もっとクリーンなやりかたがあるのでは?と考える癖がつきました。まず自分がベストと思う方法をアウトプットしたうえで、先輩にも相談をするようにしています。
ほかの人の意見をたくさん聞くことで、万全な状態にしたいんです。自分のアウトプットをたくさんの人に見てもらえることでモチベーションも上がりますし、思いもつかなかった方法や案をいただくことで、仕事をよりよく進められるとすごく達成感を感じます。人からのフィードバックをもらうのが最近の楽しみです。

おせっかいって思われることもあるかもしれない、それでも、人の面倒を見るのが好き
――周りからはどんな人だと言われますか?
面倒見がいいと言われることはありますね。ちょっと自分としてはおせっかいかなと思いつつ、困っている人や、自分が役に立てるタイミングがあると、溢れ出る感情を抑えておけないことが結構あるんです。もしかしたらちょっと言い過ぎたかなと思って、周りに大丈夫ですか?とか聞くこともあるんですが、「面倒見がいいので安心してます」と言われてほっとすることもあります。
――呉さんが人の面倒を見るのが好きなのは、自分がそうしてもらえて嬉しかったからですかね?
まさしくそうです!今もエンジニアの先輩にとても気にかけていただいて、どんな些細なことでもアドバイスをいただくようにしています。今までも、上司や取引先宛の連絡で使用する様々なケースのビジネス文書や進め方を先輩に指導をいただいていた経験があったからこそ自信をもって先方とやり取りできることにつながっていると感じます。
だからこそ、先輩から受け継いで教えてもらったことをちゃんと次へ受け継いでいきたいです。
――どんな人と一緒に働いてみたいですか?
奇抜なアイデアとか、「こうしたら面白いな」ということばっかりついつい考えちゃう人と働きたいです。私自身が新しい物好きなので、固定観念に縛られないで空気をいい意味で壊してくれる人に魅力を感じます。自分も一緒になって新しい方法や表現を提案して、チームや会社に新しい価値観を持ってこれると楽しいなって。知識って意識しないと、インプットすることばかりに傾いてしまうと思うんです。だからこそ、経験や知識を適切に伝えることができるアウトプットに長けた人と仕事をしてみたいし、自分もそんなエンジニアでいたいと思います。
あとは、相手を思いやりつつも言うべきことは言うような緩急のある人とも働きたいです。プラスディーの先輩でそういった働き方をされている人がいて、とても尊敬しています。コミュニケーションの中で、言うことをコストだと思わず言い合うことでプロジェクトを前に進めていく推進力のある人は尊敬しますね。
――人とコミュニケーションをとるときに気を付けていることがあれば教えてください。
なるべく自分の思い込みだけで話さないように、考え方や伝え方には注意を払っています。
例えば、相手方のミスかなと思った部分であっても、「ここはこういう前提であってますか?よければ一度ご確認いただけますか?」など、相手への確認を促すような言い方をしています。「間違ってますよ!」と言ってしまえば早いのかもしれませんが、遠回りでもお互いに仕事がしやすい関係値を作れるように気をつけています。
あとは、たとえ忙しいタイミングでも、できるだけ、親切な対応をすることで気持ちよく働きたいなって思うんです。そのために最低限の余裕は持てるよう業務の調節をしつつ、100パーセントの対応を返すことを心がけています。
――今後挑戦したいことはありますか?
プラスディーの中で、部署や職種を横断して会社の知見を貯めるプラットフォームを作りたいと考えています。職域ごとの知見や経験は、ある程度共有できるタイミングや知るきっかけがあると思うのですが、所属しているチーム以外の話や、部署を横断した知見を知る機会が少ないなと感じているのが理由です。今はNotionを使ってそれを実現している企業もいくつかあります。自分の職域以外の情報にフラットにアクセスできる何かを作れないかと、模索しています。そこまでやっちゃうと完全にエンジニアとしてやることからは外れる気もするんですが(笑)。
自身の目標としては、オープンハウスグループの常駐業務を通してスキルアップを進め、多方面で頼られるエンジニアになりたいです。今は運用の効率化などに関する部分を勉強しているので、その経験を他の業務でも生かしたいです。

写真:西田優太