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【そごう・西武様】OMOストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」の新しい購買体験

2022.09.22

株式会社そごう・西武は2021年9月に百貨店初のOMO(Online Merges with Offline)ストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」をオープンさせた。食品、雑貨、コスメなどをオンライン中心に販売するブランドをキュレーションしていることが特徴だ。プラスディーが手掛けるライフスタイルブランド「UNBUNDLE」にもお声掛けをいただき、その洗練された空間の末席を汚している。

今回は、「UNBUNDLE」のディレクターである山木が「CHOOSEBASE SHIBUYA」の伊藤謙太郎ディレクターにインタビュー。お声がけをいただいた経緯や、オープン1周年を迎えるにあたっての気付きや展望を伺う。

拡張していく「まだ見ぬブランドとの出会い」

山木:2022年9月で、オープンから1周年になりますね。おめでとうございます。当初の取り扱いが約50ブランドだったのが、120ブランドまで増えたとお伺いしました。

伊藤:ありがとうございます。オンライン限定出店のブランドを含めると約180ブランドになります。自分としては手応えとニーズの高さを感じています。OMOストアという新しい業態に対するブランド側の関心の高さと、新しいブランドと出会えるというコンシューマーの期待に応えていきたいですね。

山木:出店ブランドの中には、ちょっとしたお菓子とかお砂糖のように販売単価が比較的安いものを取り扱ってるものもありますよね。私たちもそうですが、そういったブランドにとっては西武渋谷店に入るというのはPR面でもとてもメリットがあると感じました。

伊藤:はい。単価が安いこともそうですが、地方で頑張っていたり、すごくニッチなマーケットで販売していると、知ってもらう手段はSNSくらいですよね。SNS広告ということになるとハードルが上がっちゃって、上手いこといかないと。そういったブランドさんが手間暇かけずにこういった場所に出店できるというのはメリットだと思います。

山木:確かに、出店までのやりとりはスムーズだと感じました。あとはやはり場所ですよね。私世代だとこの場所といえば「WAVE」というレコード屋だった場所で、ちょっと思い出深いんですよね。まさか、そこに自分が携わってる商品が並ぶとは…と思ってしまいます。

伊藤:それは皆さんよく仰っていただけますね。

新しい購買体験の浸透とジェネレーション

山木:あと、私がお伺いしたときに衝撃だったのは、QRコードを読み取って購入するという手法で迷われているお客さんを見かけなかったというところです。ごく当たり前という感じで、正にデジタル・ネイティブだなと思いました。

伊藤:ちょっと尖った購買方法だとは思っています。実際についてこれないお客さんがいることもあるので、見せ方を含めて工夫できる部分はまだまだあると思っています。というのは、実は当初想定していたよりも幅広い年代の方にお越しいただいているんです。食に関するブランドが増えてきたことで「インスタで知りました」という50代のお客様も多くいらっしゃいます。

山木:私たちに出店依頼を頂いた際に、そのあたりのデータを拝見させていただきました。来店者のボリュームゾーンはZ世代ですが、購買単価が高いのはやはりそれ以上の世代になっていましたね。

伊藤:単価でいうとそうなってしまいますよね。Z世代と言われる人たちの消費行動はよく解説されていたりしますが…。

山木:よっぽど自分が気に入ったモノじゃないと買わないという消費行動ですよね。体験、コトやイミを重視してるなんて言われます。体験という点においては、CHOOSEBASEに行くこと自体が既に体験ですよね。先程、「インスタで知った」というお客様がいたという話しがありましたが、SNSで広げてもらうコト自体は当初からの想定ですよね?

伊藤:はい。それは想定していました。百貨店の店内で撮った写真だとSNS映えは難しいと思いましたので、話題化というか広めてもらうことは常に考えています。実はマーケティング、広告費用は全然使っていないんです。

新しさと伝統が交差する百貨店のDNA

山木:やはり、事業化していく際にそのあたりも設計されているんですね。しかし、先程の購買方法の尖り方や、接客する店員もほぼいないという計画に対して社内の反発はなかったんですか? 百貨店は接客を売りにしている側面もあるんじゃないでしょうか?

伊藤:もちろん反対意見は多くありました。「それで売れるわけない」とか「意味が分かんない」なんて言われることもありましたね。でも最終的には尖っていることを面白がってくれる会社でもあるので通ったところはあると思います。

山木:すごい経営判断だと思います。OMOは実店舗とECサイトでのデータ統合がひとつの魅力だと思いますが、今後のデータビジネス(RaaS)の構想もあるのでしょうか?

伊藤:そうですね。今回の形態で導入したSaaSなど含めて1つの型にはできると思っているので磨きはかけていきたいですね。

山木:例えば、それを地方の店舗へ横展開したりとかあるんでしょうか?

伊藤:そこはなかなか難しいところで、やはり既存の仕組みを根本からドラスティックに変えるのはステークホルダーの多さや商習慣などがあるのでハードルは高いですね。

山木:確かに、それはそうですね。地方の方が百貨店に求めているものは確立されているのかもしれませんね。都心でも地方でも言えることかもしれないのですが、百貨店の良さという点において、伊藤さんのインタビュー記事の中で「百貨店ならではの編集力」という言葉がありました。セレクトショップなどとは違う、キュレーションとはどのようなコトなのでしょうか?

伊藤:百貨店は様々な領域のバイヤーが揃っています。その方自身のキャリアは何十年ということであっても、その背景には何百年というDNAが受け継がれています。そこが一番の違いですね。

メッセージと親和性

山木:なるほど。それは説得力がありますね。ということは…「UNBUNDLE」にお声がけいただいた方は外部のキュレーターの方かと思っていたのですが、社員の方だったんですか?

伊藤:そうなんです。よく驚かれるのですが、現在の事業担当者5〜6名がSNSを見て自力で調べています。普段からアンテナ高く生活しているので、日常の中で探っていて見つけることもよくあります。そのため、ブランド側から「置いてほしい」と依頼を頂いて出店をするケースよりも、私たちからお願いして出店していただくことの方が圧倒的に多いですね。

山木:少数精鋭のキュレーターとは驚きです。今や星の数ほどあるD2Cブランドの中でどうして「UNBUNDLE」のお声がけいただいたのでしょうか?

伊藤:自分が個人的にモクテルに興味があったことが理由の1つです。数年前に、ノンアルコールが海外でも流行っていて、「お洒落な人ってこんなのを飲んでいるんだな」というのが出会いでした。六本木にもノンアルバーができてて、日本でもキテるんだろうなと思いました。コロナもキッカケだと思いますが、現代は「飲みニケーション」をとらなくてもコミュニケーションがとれるんですよね。なので、時間の選択肢をモクテル、ノンアルコールが与えているとも捉えられると思います。「UNBUNDLE」はデザインも含めて新しいライフスタイルを作り出していくところに魅力を感じました。ストーリーを重視している点にも親和性を感じます。

山木:まさに、ブランド活動の軸はそこにありますね。私たちはライフスタイルをデザインできたらなと思っています。モノを通じてイミをメッセージング、ないしは考えるキッカケを生み出せればと思っています。

伊藤:そうですね。メッセージングって大切だと思います。9月からの私たちのキュレーションのテーマが「なんでもないひに ザ・シブヤギフト」というのですが、特別な日への贈り物だけではなく、もっとラフな挨拶という意味でのメッセージだと思います。

山木:いいですね。「UNBUNDLE」の現在のテーマも「とっておきの日常」なので、同じような考えだと思います。それにしても、やはりギフト需要は大きいんですね。

伊藤:コスメやアパレルは直需要が多いのですが、フードのブランドはギフト需要が多いですね。今後はキュレーションしたブランド同士の掛け合わせによるギフト訴求も考えています。

山木:それは、素敵ですね。まさに「百貨店ならではの編集力」が発揮されそうです。

UNBUNDLE
オンラインストア:https://www.unbundle.tokyo/
Instagram:https://www.instagram.com/unbundle.tokyo/


CHOOSEBASE SHIBUYA
住所:東京都渋谷区宇田川町21-1 西武渋谷店パーキング館1階
オンラインストア:https://choosebase.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/choosebase_shibuya/
アプリ(iOS):https://apps.apple.com/us/app/choosebase-shibuya/id1605733073

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